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富裕層と呼ばれる世の中のお金持ちはどうやってお金と付き合っているのでしょうか。筆者がプライベートバンクで十数年、富裕層向けに資産運用コンサルティングをする中で、富裕層のお金との付き合い方について、以下の7つの共通点に気が付きました。


1.債券と不動産をポートフォリオの「コア」にする
会社を売却し多額のキャッシュを手にされたお客様の多くは、資産の大半(8割程度が多い)を通貨、発行体を分散し安定的な債券、不動産に投資。残りを外国株式、国内株式に投資しています。コア資産を安定的な債券、不動産で固め、株式のようなサテライト資産でハイパフォーマンスを狙いにいく戦略です。


2.資産管理会社を活用している
富裕層の多くは資産管理会社を設立し、資産管理に活用しています。個人で資産運用している場合、債券の利息や株式の売却益などには約20.315%が課税されますが、法人であれば経費等など差し引き、他の資産と損益通算できるメリットがあるからです。


3.借入(レバレッジ)を有効活用している
借り入れを利用して不動産や金融商品への投資に取り組んでいます。理由は2つあり、投資効率を高めることと流動性の確保です。借入を利用することで、投資先の利回りと借入金利の差の分、投資効率を高めることができ、また手持ち資金を使わないことで、別の魅力的な投資先が現れたときに即座に投資できたり、また万が一の相続が起こったときでも手持ち資金を納税資金とすることができます。


4.相続・事業承継を常に意識している
資産を10億円以上保有されているお客様は、相続税率が最高で55%に達します。富裕層である事業オーナーや地主は、資産の大半が流動性の低い自社株や不動産であるケースが多く、相続が発生したときに、売却ができず納税資金を確保できないことが多いです。保有資産の相続税評価を試算した上で、流動性の高い資産を確保する資産設計の構築をお手伝いすることが多かったです。


5.子供の教育が「最高の投資」と考えている
富裕層の多くは後継者となるお子様の教育を特に大切だと考えています。前職で一番多かった相談はお子様を何歳から、どこの国のどの学校(ボーディングスクール)に入学させるのがいいかということでした。富裕層の人たちは、資産運用でお金を増やすよりも、お子様の教育が将来もたらすリターンの方が、圧倒的に高いことを理解しているのです。


6.最悪の事態を想定している
お客様の多くは現在の資産を何倍にすることよりも、最悪の事態が起こったときに資産が半分にならないことを望まれています。資産を全世界の金融資産(株、債券)、実物資産(不動産、貴金属)に分散し、外貨比率を高めることで、金融危機や日本のデフォルトのような最悪の事態に備えたポートフォリオを構築しています。


7.与えることを惜しまない
企業を創業し成功した人に共通しているのは、与えることを惜しまないことです。良い仕事をした従業員や関係者には、その何倍もの「お返し」をしています。それが、相手との関係をさらに特別なものにし、協力したいというファンを作り出す。それが、さらに良い結果を導くという「成功のスパイラル」が完成します。成功者は人に惜しみなく与えることから生まれる無限の価値を理解しています。


以上のようなお金のルールを実現するために富裕層は銀行や証券会社、プライベートバンク、税理士などの信頼できる専門家のネットワークを独自に築いています。一般的にはお金があるほど幸せに見えますが、その分、悩みや考えなければならないことも多く、しっかりしたお金に対する考え方やルールを持ち、自分が築いた大切な資産を守っています。

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